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◆伝統産業におけるトレーサビリティ導入プロジェクト とは

 

 京都の伝統産業において、需要の停滞や後継者不足など取り巻く環境は厳しい状態にあります。とりわけ代表的な伝統産業である西陣織や京友禅は、これらの諸問題に加えてモラルを逸脱した販売手法により、消費者からの信頼を失いつつあります。このような現状において、自分達の生産や加工の技術が十分に消費者まで伝わっていないことが、価格だけを訴求する安易な販売に繋がっているものと考えています。又、外国産と国内産の区別が解り辛いことが多く見受けられ、生産や販売の現場でコンプライアンスが強く求められています。

 この度、生産加工の情報を見直して本来公開しなければならない品質や産地・生産者名を明らかにすると共に、その工程経路を公開して、生産加工した帯やきものへの信頼の回復に努めることにしました。

 そのために、データーの共有を計り広く分かりやすい情報を公開することにしました。西陣織や京友禅が、帯やきもの・呉服や和服、広い意味での「きもの」など、様々な言葉があり、その技術面においては専門的な特殊用語が多数あって、単に工程経路を公開するのみでなくその用語の解説や標準化も行いました。

 又、調査事業のアンケートの結果からも、前述の内容を一まとめにした生産加工経路情報の公開によって、帯やきものを購入された方々から信用と信頼の回復が得られるものと確信致しました。取扱情報を多くの方が望まれているのも判明しました。

 この事から、きものや帯(伝統産業の染織製品)について、プロジェクト参加企業の生産・加工の工程や技術・原材料・産地や正しい品質表示などの情報を共通の加工台帳(カルテ)として整備するプログラムを作成し、このデーターから得られた情報をホームページに公開する「伝統産業におけるトレーサビリティ導入プロジェクト」として実施致しました。

この事業を推進するにあたり、京都府中小企業技術センター・京都府中小企業団体中央会及び専門家委員の皆様のご指導を得て、平成19年度京都ブランド・新分野開拓事業として実施して成果を得ることが出来ました事、厚く御礼申し上げます。

このことにより、伝統産業製品への信頼性・貴重性をより一層増す事ができ、更なる技術・品質の向上と、少しでも伝統産業に従事する職人さんの仕事が活性化して、その技術(わざ)の保存・伝承に寄与できることを願っています。

最後に、今回ICチップの導入を研究いたしましが、技術面で導入できませんでした。このプロジェクトがより強固なるものとなって、更に内容を充実しながら、今回作成した情報がICチップに入力できるようになって、より利用し易いトレーサビリティへと発展していくよう努力を重ねて行きたいと思っています。

                    伝統産業におけるトレーサビリティ導入プロジェクト

                              代表 樋口 恒樹 

事業の概要

◆目的

 このプロジェクトは、参加する企業の京都の伝統産業である西陣織や京友禅に従事する職人さんの仕事を色々な分野で活性化し、その技術(わざ)の保存・伝承に寄与することを目的とする。

 この目的を実現するため、消費者に親切なものづくり、適切な原材料・技術管理および正しい品質表示、和風という日本人の心に通じる生活文化の創造・提案をできる知識集約型システムを運営し、そこにトレーサビリティを導入する。このことにより我々が有する「技」や「品質」を直接消費者にアピールすることが出来、よって我々が提供する伝統産業製品への信頼性・貴重性をより一層増すことで、これら製品の基盤を確固たるものとし、更なる技術・品質の向上と新分野への拡大を目指す。

 

◆テーマを選んだ理由、実現性と期待される効果

(ア) 需要の停滞や後継者不足など取り巻く環境は厳しい状態にあり、これらの諸問題に加えてモラルを逸脱した販売手法により、消費者からの信頼を失いつつあります。このような現状において、自分達の生産や加工の技術が十分に消費者まで伝わっていないことが、価格だけを訴求する安易な販売に繋がっているものと考えています。又、外国産と国内産の区別が解り辛いことが多く見受けられますので、生産加工の情報を見直して本来公開しなければならない品質や産地・生産者名を明らかにすると共に、その工程経路を公開して、生産加工した帯やきものへの信頼の回復に努めるため、このテーマを選びました。

(イ) 今回開発した、生産加工経路追跡システムは、毎日の作業を行う中で必要な情報のデーターベースが構築され、そのデーターを利用してトレーサビリティを公開するもので、あえて公開ためにデーターを新たに作成するものではないので、伝統産業の少人数の現場で実施可能なシステムとして、容易に実現が可能となります。

 こうして得られたデーターを、アップロードすることによって作成させる公開情報は、消費者が容易に見ることが出来る情報としてホームページ上で公開します。このことによって、その商品の信頼性をますことができ、一元管理することによって、着用後の手入れなどにも対応出来るので、生産者加工者と消費者の信頼の接点が回復出来て、和装の振興発展が期待できます。

事業の内容

(ア)調査事業

期間 平成19年6月から平成20年1月

方法 委員会における調査とアンケート調査

調査項目

1.西陣織・京友禅の生産加工工程を分析し、工程経路情報を調査する。

2.西陣織・京友禅の消費者・小売店・流通・生産者を対象に、品質・技術・原材料などの
      生産加工情報についてアンケート調査を実施する。

 

(イ)研究事業

期間 平成19年6月から平成19年10月

方法 委員会における調査研究

研究項目

1.仕事内容(生産・加工経路追跡情報)を業種や分野に囚われず共有化したデーターベー
      スとして蓄積する加工台帳(カルテ)と、加工コードを研究する。

2.蓄積した加工台帳(カルテ)の生産加工経路追跡情報よりトレーサビリティを作成し、
      消費者に提供する情報内容を研究する

3.生産加工経路追跡情報の、ICチップやバーコードなどの利用を研究する。

 

(ウ)試作事業

期間 平成19年11月から平成20年3月

方法 委員会におけるプログラムの開発

内容

1.参加企業での生産加工経路追跡プログラムの開発

1)  生産加工台帳の新規発行

2)  生産加工工程管理伝票や納品書の受入伝票の発行

3)  生産加工経路情報の一括管理と生産加工台帳(カルテ)の作成

4)  トレーサビリティ情報と技術品質など生産情報の作成

5)  生産加工経路情報のホームページへのアップロード

 

2.公開用ホームページの制作

1)  生産加工経路情報の一元化

2)  生産加工経路情報をトレーサビリティとして公開

3)  技術情報・商品情報を検索公開する。

4)  取扱方法などの問合せ窓口の整備

5)  データーベースの整備拡充

 

 

 

 

 

 

事業委員会 委員名簿

専門家委員

   職

氏   名

けいしんシステムリサーチ株式会社

中小企業診断士・ITコーディネータ

営業企画部長

藤原正樹

有限会社アンブリック

中小企業診断士

代表取締役

坂本淳

行政アドバイザー委員

 

 

京都府中小企業技術センター企画総務部企画情報室

専門員

町野覚

京都府中小企業技術センター技術支援部応用技術室

主任

桶谷新也

京都府中小企業団体中央会連携支援チーム

アドバイザー

木村好孝

事業者委員

 

 

株式会社織彦

代表取締役

樋口恒樹

株式会社京染せい山

代表取締役

山田容永

株式会社京都キモノ・サービス

代表取締役

柴田多美子

呉光オートクリン株式会社

代表取締役

鶴山幸吉

有限会社土本

代表取締役

土本孝則

西 尾 産 業

代   表

西尾敏文

野崎織匠株式会社

代表取締役

野崎敬史

株式会社枡儀

代表取締役

上田真三

 

 

 

 

 

アンケートについて

  別紙アンケート用紙 で実施

 


 

 

◆アンケート集計結果

  別紙に掲載


 

 

◆アンケート調査結果概要

 

■「トレーサビリティ」は安心・安全イメージ

 今回の調査では、トレーサビリティという言葉を聞いたことのある人は約4割。そして、この言葉を聞いたことのある人のうち、そのほとんどが食料品分野となっています。さらに、トレーサビリティを導入している食料品に対して「安心・安全」というイメージを寄せている人が9割以上あります。

 今、食の安全・安心は大きな社会問題となっており、それを如実に表した結果となっています。またその安全・安心のための情報収集にトレーサビリティが非常に重要であることがわかります。

 

 

■興味はあるけれども知識はまだ少ない。

 伝統工芸品の制作・加工・技術・原材料・品質・産地などの情報に関する質問では、それらの知識を持っている人が約2割、一方、興味のある人は9割以上という結果になっています。興味に関しては、着物愛好者が回答者であるため当然のことと思われますが、着物愛好者や販売店の方でも知識を持っている人が意外に少ないことがわかります。きものや帯を取り巻く情報が、我々の周りからどんどん少なくなっていることの現れかも知れません。

 「きものや帯のトレーサビリティ」については、ほとんどの人が知らないと答えています。一方、「知りたい」という人は約半数、「あれば利用する」人が約4割となっています。前の質問の答えでトレーサビリティという言葉そのものを知っている人が約4割であることから、同じような結果となっています。また、きものや帯のトレーサビリティについて、その仕組みや内容がまだまだ良く認知されていないため、「わからない」と答えた人が多くなっています。

 

 

■トレーサビリティは商品やお店の魅力の一つに。

 トレーサビリティの検索を利用すると答えた人は56.6%と半数以上。また、トレーサビリティが購入・販売の際の参考となると答えた人は55.1%。さらに、トレーサビリティによって商品やお店の信用・信頼が増すと答えた人は70.5%となっています。トレーサビリティ検索による情報提供が、商品やお店の魅力の一つとして非常に有効であることがわかります。

 トレーサビリティ検索ができるお店を優先的に利用したいと答えた人は42.6%。自由意見からも読み取れますが、きものや帯に関する情報はやはり販売店から収集することが多いようです。トレーサビリティ検索の仕組みや内容をさらに積極的にPRし、販売店における情報に付加するものとして、今後の活用が望まれます。

 

 

 

■消費者、販売店それぞれで必要なきものや帯の情報。

 きものや帯の詳しい知識や取り扱い方法について知りたいと答えた人の割合は非常に多く、91.1%。これは消費者でも販売店でも同じ傾向です。アンケートの自由意見からも、きものや帯に対する情報の不足に対する不満が読み取れます。例えば、「着物の取り扱い方法」「手入れ・保管方法」「活用・リフォーム方法」「着方・選び方」「染み抜き・修繕・サイズ直し・加工方法」など、たくさんの情報ニーズがあることがわかります。

 また、詳しい技術情報に関して知りたいという人の割合は69.2%。こちらは、消費者以上に販売店において非常に多くなっています。さらに原材料・産地について知りたいと思う人の割合は77.4%で、この情報に対しても販売店のニーズが非常に高いことがわかります。

 

 消費者は様々な情報を元に商品の購入や店舗の選択を行っています。インターネットなどを利用して消費者に直接、あるいは販売店経由で、より確かな判断材料となる情報を提供するために、トレーサビリティ検索の仕組み作りは有効であると思われます。

 

 

                   伝統産業におけるトレーサビリティ導入プロジェクト

                      専門家委員・中小企業診断士   坂本 淳

 

 

日本伝統産業染織工芸協会について

 

【名 称】  日本伝統産業染織工芸協会

【英文名】  JAPAN KIMONO ARTS & CRAFTS ASSOCIATION

【URL】   kimono−kyoto.biz

【MAIL】  info@kimono−kyoto.biz

【住 所】 602-8241 京都市上京区役人町260−303 (株)織彦内

【役 員】

   理事長   樋口 恒樹 ((株)織彦)

   副理事長  上田 真三 ((株)桝儀)

   専務理事  西尾 敏文 (西尾産業)

   事務局長  土本 孝則 ((有)土本)

   理 事   山田 容永 ((株)京染せい山)

    々    柴田 勝  ((株)京都キモノ・サービス)

    々    鶴山 紳爾 (呉光オートクリン(株))

    々    野崎 敬史 (野崎織匠(株))

 

【会員番号】

1 (株)織彦          orihiko@kimono-kyoto.biz

2 (株)京染せい山       seizan@kimono-kyoto.biz

3 (株)京都キモノ・サービス  shibata@kimono-kyoto.biz

4 呉光オートクリン(株)    gokoh@kimono-kyoto.biz

5 (有)土本          tsutimoto@kimono-kyoto.biz

6 西尾産業          nishio-sangyo@kimono-kyoto.biz

7 野崎織匠(株)        nozaki-orisyo@kimono-kyoto.biz

8 (株)桝儀          masugi@kimono-kyoto.biz